ニュートンとゲーテは、光と色に関する異なる理論を提唱しました
「万有引力の法則」で知られるニュートンは、力学の発見だけでなく、光学や数学でも重要な発見をいくつもしました.
そのニュートンのプリズムによる分光実験(色彩論)に対して、ゲーテは、「色は心の要求である」”色彩のことを論ずるならニュートンのことからやれ、というのは知っているが、あるものの本質を表現しようとしても実を結んだためしがない. 色なら色の本質が中にあると考える考え方をある種の本質論と考えるのだが、作用を捉えることができる” …という批判的な言い方をしたのです.
要するに彼は、人の目が色を見るときどんなふうに見えてどんなふうに感じるのか、人間の体験を中心に観察するのが大事だと考えたのです.
ゲーテは、人間が受け取る「感覚」にこだわりすぎたのです.
実際に彼はニュートンのいう「光のスペクトル」を見ようと、プリズムの実験をやってみました.
そのときゲーテはプリズムに光を通すのではなく、自分の手にプリズムを持ってのぞいてしまいました.
この時スペクトルが見えないため「ニュートンの考えはまちがい」と思ってしまったのです.
ニュートンの色彩理論は、光が分光によって様々な色に分解されることを説明します.彼はプリズムを使って白い光を分解し、七色のスペクトルを観察しました。彼は、それぞれの色が単一の波長であると考え、光の色はその波長によって異なると主張しました.
一方、ゲーテの色彩理論は、色は物質に由来すると考え、物質が光を吸収・反射することによって生じると主張しました.彼は、人間の感覚や心理的な状態が色の知覚に影響を与えることを示しました.例えば、彼は、色の相補色が存在することを示し、光の波長による単純な色の理論に対して批判的な立場をとりました.
これらの理論は、光と色に関する私たちの理解を深める上で貢献したと考えられています.また、ニュートンとゲーテの間の論争は、科学史において重要な出来事の1つとなっています.
光と色を研究して書いた『色彩論』でゲーテは、最終編には色彩の感覚的精神的用と題して、色の感情的効果、色の組み合わせの全体性と調和、色彩の美的作用、色のアレゴリー的、抽象的、精神的作用に及び、感性を中心として空間、悟性、理性の全体図式が展開されています. これは色彩の心理学全てのことで議論されているため、それ故に「色彩の心理学はゲーテに始まり、ゲーテに終わる」と思うのです.
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